Youright的な見解

あくまでも私的な見解である

それらしく語る「内閣改造」。

第2次安倍改造内閣がスタートした。

今回の改造人事は前評判から女性が多くなるとの予想で、結局それが覆る事なく、第1次小泉改造内閣と並び過去最多5名の女性が入閣となった。だが、党三役に稲田議員が入ったのでこれを1名と数えると、女性を起用した人事の最多記録を更新したとも言える。

個人的に入閣した女性で気になったのは、法相に就任した松島みどり氏である。インタビュー時に赤ジャケットを着ていた姿を見て、思わず「共産党かよ・・・」と突っ込みたくなってしまった。大事な場面で他に着る物は無かったのだろうか?

この方は、今話題の朝日新聞の出身である。なので朝日新聞の政権批判に対しての牽制役か?とも思ったが、現在の朝日の燦燦たる状況を見れば単なる思い過ごしなのだろう。

 

一方で、「うっかり王子」石原伸晃氏は予想通りにポストを外されていた。

可哀想だが、この人はもう総裁になる夢も持てないだろう・・・。

 

留任は当然

安倍首相の特徴の一つとして挙げられるのが、海外訪問が歴代総理の中でも圧倒的に多い事だ。その目的は大きく2つだろう。一つは「中国への牽制」であり、もう一つは「日米同盟の回復」である。これらを外務省に任せることなく、官邸主導で行う事によって、したたかに狡猾に中国へ包囲網を張りつつ、日米同盟も大幅に改善された。実際この安倍外交は国内外からも評価が高く、不満を感じている勢力があるとしたら外務省と民主党くらいだろう。

それに今秋からの外交は、北朝鮮との交渉・中国でのAPEC首脳会談・プーチン大統領の訪日と、重要なイベントが目白押しとなっている。岸田外相は、これから気を休める暇など皆無だろう。

 

同時に、今や安倍政権の代名詞となっている、デフレ脱却政策「アベノミクス」は、政権発足から最重要課題として取り組まれてきた。実際今回の改造内閣発足時にも首相はデフレ脱却を再度強調した。

しかし、実際アベノミクスは今つらい状況にあるだろう。株価は何とか1万5千円台を維持しているが金利は全く上がらない・物価はやや上昇したが賃金が上昇に追い付かない、そして消費税増税の決断という危機に直面している。

これらの難題に取り組まなければならないのが財務大臣であり、首相が海外にいる間、国内を預かるのが副総理である麻生氏だ。このポジションの責任は重大であり、途中で投げ出すわけには行かず、今や首相と運命共同体である。

私は個人的に麻生ファンであるので、ぜひとも頑張って欲しいと思っている。

 

安倍政権で一番功を上げているのは、実は教育改革だろう。

いわゆる「戦後レジームからの脱却」だ。

今回留任した下村文部科学相は、教育改革の実現を目指して議員になったという異色の人物である。下村氏のもとで、教科書の見直しや近現代史の設立などの改革が着々と進められ、戦後教育からの脱却が図られつつある。この功は非常に大きい。

これらの功績を残した下村氏が文部科学相に留任した事は喜ぶべきだろう。

 

よくわからないけど・・・

今回一番注目されたのは、やはり石破氏だろう。

幹事長をクビになり、地方創生担当相というポストに就任したが、実際には省庁を任せられたわけでもなく、何をする役職かもイマイチつかめない 

簡単に言うと「地方を盛り上げていきましょう」といった役職らしいが、そもそも、今回の改造内閣は来年の総裁選までの人事であり、約1年程度の任期になる。そんな中で、持つべき省庁もなく何ができるというのだろうか?大いに疑問である。

 

しかし石破氏は、党内一の政策通であると言われており、防衛だけでなく農林相時代の仕事も評価が高い。この策士が、難しい役割を演じながら次期総裁に向けてどう立ち回るかも、同時に気になる所だ。 

 

今、交代の真意は?

さて皆が疑問を感じたのは、拉致担当大臣が古屋氏から山谷えり子氏へ交代した事だろう。

と言うのも、今月中旬には北朝鮮から拉致被害者に関する再調査結果の第1次回答が来る予定になっていたのである。2年近くも拉致担当大臣としての職務を全うしてきた古屋氏を今ここで交代させるのは、ドラマの最終回で主役が突然交代するも同じであろう。

もちろん本当の意味での最終回とは、「拉致被害者が全員帰国する事」である。

しかし、今回の交代劇は何か不安な要素があるとしか思えない。

不安な要素とは、北朝鮮からの回答結果である。

外交交渉とは、事前に水面下での下交渉があって初めて成立するものであり、今回も当然ながら第1次回答前に下交渉がなされた事は間違いないだろう。その時点で、実は「国民が納得できるような回答」が得られないと踏んだのではないだろうか?

ただ、山谷氏が不適格者であるとは思っていない。

この方は長い間、北朝鮮による拉致問題に携わってきた人物であり、被害者家族との信頼関係も厚い。

なので、ここは悲観的な見方をせず素直に新拉致担当相へ、解決に向け頑張って欲しいとエールを送るべきなのかもしれない。 

拉致被害者の家族はもう高齢であり、もはや一刻の猶予もない。早期の解決を願う。

 

3つ目の脱却

私が疑問に思ったもう一つは、防衛相の交代である。

この交代は割と早々と伝えられていたが、先ほども触れた通り、首相は自ら外交と安全保障に心血を注いでいる。外交と防衛は表裏一体であり、政権発足時から見ても、外交が進めば防衛も進むといった具合に、一進一退であったはずだ。

そして何より、安保の最課題である集団的自衛権の法整備を進めるうえでも、当初からこの問題に取り組んでいた小野寺氏を交代させる行為が、重大な損失である事は誰から見ても明白である。

確かにポスト待機組が60人以上もいると言われ、やむを得なしとする見方もあるが、どうも腑に落ちない。

一体なぜなのだろうか?

 

実は小野寺氏には、あるウワサが流れている。

実際これは日刊ゲンダイが報じているのだが、どうもパソナグループと小野寺氏に只ならぬ黒い関係が存在するという話なのだ。パソナグループとは以前も書いたが『公なヤクザ企業』の事である。

これはあくまでもタブロイド紙のネタではあるが、「(歌手の)ASKA氏の覚せい剤事件」と小野寺氏が間接的に関係しているらしい。

この事件の捜査の中で、ASKA氏と密接な関係にあり逮捕された女性は、パソナグループの元社員という事実が発覚した。この事実を受け、同事件とパソナグループの関係性が疑惑として浮上し、週刊誌は度々報じていた。

そして、今年の4月頃にこの女性と小野寺氏がかつて親密な関係であったと、日刊ゲンダイが報じたのである。

ゴシップである可能性は大いにあるが、実際に国会で野党から追及を受けている話なので、一概に切り捨てるわけにはいかないだろう。

 

この真意はわからないが、防衛省パソナグループに癒着があるのは確かであり、防衛省の民間委託の仕事を同グループが多く受注している事は事実である。また、防衛省からパソナへの天下りも多い。

ただしこの関係は10年以上も前から続いており、小野寺氏が防衛相になる前からの話である。

 

そして、もう一人パソナグループと親密な関係があるとされているのが、厚生労働相であった田村氏だ。

田村氏は厚労相であった2013年に、パソナの接待パーティーに出席していた事が発覚した。

厚労省は派遣業を監督する省であり、そのトップである大臣が派遣会社の接待に出席し、その一方で国会では労働者派遣法改正を審議する行為が、既得権益にあたるとされ、度々批判をされていた。

 

このように、パソナグループは政界に利権の網を広げつつある。

小泉政権時に派遣を増長させた元凶であり、現パソナグループ会長でもある竹中平蔵氏は、未だに民間議員として政界に潜り込んでいるのだ。

 

安倍首相は、この現状に危機感をもっていたのか?

それとも、単なる不安要素として切り捨てたのか?

全くの無関係であるのか?

その思惑は不明だが、今回の人事でこのパソナと関係があるとウワサされる2人が交代したのは事実である。

もし、第2次安倍改造内閣で「デフレからの脱却」と「戦後レジームからの脱却」に続く「脱却」を掲げるとすれば、「パソナからの脱却」ではないだろうか?

(本来は「原発からの脱却」が理想であったが・・・)