最近、パチンコ関連企業や人材派遣会社のセレブなる『公なヤクザ』が、世間で幅を利かせているが、それを見る度に私はこの国も落ちぶれたものだと落胆してしまう。
あのような輩が、今の世の中でいうサクセスストーリーのモデルならば、いずれこの国は亡びると思っている。
日本においては、ギャンブル(賭博)は違法である。
「パチンコはギャンブルではない」などと恥ずかしげもなく断言するのは、パチンコ企業と裁判官くらいで、国民のほとんどはギャンブルと認識している。
しかし最近は驚くことに、この国で賭博(ギャンブル)が違法だと知らない若者がいるという。
確かに言われてみれば、普通の学校教育でそのような法律を学ぶことはない(これはこれで問題がある)。だから昔から親ないし周りの環境が、学校教育だけでは不足する世間の常識や道徳観念を、教えることで補ってきた。
だが、パチンコ業界なる『公のヤクザ組織』がもてはやされる現状をみると、どうやらそのような道徳観念は失いつつあるのだろう。
また人材派遣業とは、今でこそ浸透している言葉ではあるが、元々はピンハネ業や手配師と言われていた商売である。
ピンハネ業とは労働者を商品とみなし、人を仕入れて売り利益の上前を搾取する商売である。 かつて建設業等で、ヤクザ者のシノギとして横行されていた。
ヤクザから民へ
国はヤクザと言われる暴力団組織を、暴対法等で締め上げて弱体化を図った。
賭博やピンハネ業というのは、元々はヤクザがシノギで行ってきた事業である。
当然弱体化させられたヤクザは従来の商売を手放さざるを得なくなった。
ところが失われたヤクザ商売を、今度は民間企業が公と称し運営しだしたのだ。
要は〇〇組だった組織が、クリーンなイメージ戦略の為に、カタカナや英語を使って名称を変更したに過ぎない。
こともあろうに、国はそのヤクザ商売をする民間企業(別名『公なヤクザ』)が、勢力を拡大できるよう便宜を図り推奨さえしているのだ。
ヤクザから商売を奪い、民間にあっせんしそれを推奨する。
一体どっちがヤクザなのだか・・・。
パソナという大手の『公なヤクザ企業』が存在するが、その大元のパソナグループの現在の取締役は、小泉内閣時に経済財政産業政策大臣だった竹中平蔵氏である。
2004年に小泉内閣時に改定された労働派遣の規制緩和に影響を受け、2000年には30万人程度だった派遣労働者が2008年には140万人程度に増えている。
竹中氏がパソナグループに入ったのは2007年である。(パソナの売り上げは2003年から2008年までで1.75倍に増えている)
因みに竹中氏は現在の安倍政権で、産業競争力会議という政府の経済政策を担うメンバーの一員(民間議員)になっている。
そんな安倍政権でも今年3月に労働者派遣法改訂を閣議決定し、派遣をますます促進させ恒久化させるような政策が進行しつつある。(この法案は今年6月に廃案となったが、理由は法案に書かれていた文書に表記ミスがあったいう単なる事務レベルのものである)
上納金が子分から親分へ行く代わりに、企業から税金として国へ行くという事で、ブラックマネーが世の中に出てきたという点での功績はあるだろう。
また市場は需要があるから供給があるわけで、一方的に供給側だけを非難することはできないのも事実だ。
しかし、果たして税収が増えればそれで良いのか?
そもそもこのようなヤクザ商売の需要を拡大させた責任を、国はどう見ているのだろうか?
ヤクザから官へ
カジノ法案が秋の臨時国会で提出されようとしている。
これにむけ、大手企業などではカジノ構想が持ち上がりつつある。
先のパチンコもカジノもそうだが、ギャンブル場というものは営利団体が運営するもので、当然やる以上は利益が求められる。利益を求める=運営側が確実に儲ける構図になるので、運営側は儲ける為の管理システムを構築する。
この管理システムは、別名『イカサマ』と呼ばれる。
ヤクザがやればイカサマだが、国や企業がやる『公然なイカサマ』は管理システムというように言葉がすり替わっているだけで、本質は変わらない。
確かにカジノ法案が成立すれば、海外旅行客は増加し経済効果はあるかも知れない。
ただそれは旅行者に対して『公然なイカサマ』を国際的に行うという行為である。
国を挙げて、誰かの上前をはねたり・イカサマをして利益を得る。そんなヤクザ商売をするヤクザ国家に、日本はいつから成り下がってしまったのだろう?
この国は今まで、技術力や産業やその勤勉性で世界をけん引してきたのではないか?
本当に怖いのは、『学歴もあり・地位も名誉もあり・恥を恥だと思わない、公と称するヤクザ』であると私は思う。